「かつおぶし削りぶし」と「かつお削りぶし」
もし近くに削りぶしパックがあったら裏面をみてください。
商品名のところに、「かつおぶし削りぶし」又は「かつお削りぶし」という表記になっていると思います。商品名が「かつおぶし削りぶし」となっているものは、原料名のところは「かつお・かれぶし」となっているはずです。一方商品名が「かつお削りぶし」となっているものについては「かつお・ふし」となっていると思います。
この違い何か分かりますか?
これは原料となる節の違いなのです。「かつおぶし削りぶし」についてはカビ付けを施した枯節を原料としています。一方「かつお削りぶし」は荒節を使用しています。
見た目だけではよくみないと違いは分かりませんが、味は慣れてくるとわかるようになります。「かつおぶし削りぶし」は落ち着いた感じでカドがとれた味、「かつお削りぶし」は刺激のある強い味といった感じでしょうか。
値段は当然枯節を使った「かつおぶし削りぶし」の方が高くなります。しかし、鰹節を製造する側も改良を重ね、本枯節程手をかけないで、味・風味はそのままでコストは極力抑えた枯節の製法を確立させており、安くておいしい鰹節の提供に努めております
枯節と荒節
本枯節は鰹節の種類の中で一番手間隙がかかり、一番高価なものです。
一般的な鰹節の呼び方として、カビをつけたものを枯節(かれぶし)、カビをつけていないものを荒節(あらぶし)と呼びます。めちゃくちゃ分かりやすく簡素化して説明すれば、荒節は鰹を煮て、焙乾(マキを燃やしその熱と煙で乾燥すること)したもの。枯節は荒節製造の途中段階で表面のタール分を削りおとし、カビをつけながら仕上げ乾燥をしたものです。
カビをつける効能としては
- 長期間かけて何回もカビを生やすことにより節の内部まで均一に乾燥することができる
- カビが生育する過程で鰹の余計な脂肪分を旨み成分に分解し、カドの無い上品な味になる
- 長期保管が可能になる
等々あるのですが、今の流通量は圧倒的に荒節が多くなっています。
というのも枯節は手間隙がかかり、高価なため需要が限られているからです。鰹節全体の生産量の中で枯節が占める割合は1割にも満たないくらい少なくなっています。
大まかな傾向として、関西地区では荒節が好まれ、関東地区では枯節が好まれます。
枯節の文化
こんな言い伝えがあります。
江戸時代に、紀伊の国で荒節らしきものが作られていました。その荒節を江戸に船で運搬する途中にその荒節の全面にびっしりとカビがついてしまいました。
江戸の人たちは捨てるのももったいないので食べてみたところ、思いのほかおいしくなっていることに気がつきました。これが関東に枯節の文化が根付いた理由ともされています。
味の好みは人それぞれでしょうが、荒節の風味はクン臭が強く味もパンチがあり非常に存在感があります。
一方、枯節はとがったところが無い上品な風味です。人によってはカビの匂いを嫌う人もいます。作る料理によってそれぞれの特徴を生かして使い分けをするのが理想です。